西陣の家

解体  基礎  上棟  造作 完成編 

 京都市内には多く残る古い町家の相談。おそらくは築100年は経ていると思われます。

 今回の相談では、まず住まい方の変化を余儀なくされるコトがおこったので「さぁ家をどうしよう」ということになったのでした。
 古い町家、その家の歴史、暮らしてきた人たちの思いと亡くなった家族の思い出も大事にしたいので建て替えは考えず改装にしましょう、ということになりました。前面道路が狭く建て替えにすると道路後退で敷地いっぱいに建てられなくなります。敷地面積が広いとはいえない状況で建蔽率ぎりぎりに建てても1階面積は今より狭くなるのです。もちろんコスト面でも改装のほうが安くなるかなということも考えてのことです。

 家の間取り・寸法を測り、これからの暮らし方の打合せに入りました。祖父母、夫婦、小学生2人それぞれの生活時間帯、、、いろいろ話してプラン素案をかさねていく内に改装では無理な条件が増えていきました。
 一番大きな条件は"車"です。車を入れる場所をとると今まで町家の前半分の部屋をまるごと撤去することになります。(そんな改装をしている町家は多いですよね。充分な補強ができればよいのですがなかなか難しく、外から見ても前下がりになって非常に危険な状態にあります。) せっかくの敷地なのだからずっと止まっている車よりも居間を広くしてはどうかという提案もしましたが、なにが優先順位となるかは家族の暮らしごとに異なります。 なんとなくすすめられるままにではなくきちんと考えるきっかけになってよかったと思いますよ。 結局、車も敷地内に置けるように考えていくことに。

 それから構造体を調べていくと30年くらい前の改装で大壁にしてしまったところの内側がどうなっているのか耐力があるのかないのか(おそらくない)不安条件が増えてきてしまいました。

 いろいろと打合せしてきたことと、これからの暮らし方、子供たちに引き継いでいくことなどを総合的に判断して"建て替え・新築"に方針変更となりました。相談に乗り始めてからちょっと時間がかかってしまいましたが、いろいろと考えられてよかったと思います。
 新築となると住宅ローンの段取りとか考えなければならないことが増えるのですが、暮らし方重視で打合せをすすめました。
 町家は年々減っているとはいえ西陣はまだ多く残ってる地域です。ガイドブックなどに紹介されるようなかっこいい町家ではなく、30年くらい前にとりあえず増築したり模様替えしたりという「いいかげんな」改装をされた町家のほうが多いようです。まだ耐震性に注目もされず粗悪な施工も多い時期です。
設計
解体
なるべくなら古い家を蘇らせたいと考えていますので新築の設計を進めながらも、なんとか古材を生かせないものかと始めた解体工事。
しかし材料は想像していた以上に細く、傷みも烈しく、虫にも食われ放題、、、うーむ。柱も地面まで届いて残っているものが少なく、構造体を生かして再生するには無理があったかもしれないなと思いました。

壁が3重になっていた
両隣と連棟建ての町家だったようで壁はお隣との共用壁でした。(これは予想通り)
左側の家は先に新築しているのですが、こちらの壁がある方は外壁を作っていなかったので解体するとお隣の壁内や天井裏がぽっかりあいてしまいました。今にも雨が降り出しそうな空に慌ててシートをかぶせました。
右側の家は町家のままで共用壁は取り壊せないので壁を補修するまでシートをかぶせます。
整地
とにかく今年(2004年)は台風がよくきますね。工期が狂いっぱなしでほんとうに困りはてています。
敷地境界は共用壁の中心になります。右側はまだ残ってますし左側の家は越境して建っているので実際の敷地は図面上より狭くなってしまいました。
計画建物は設計変更せずにすみましたが、施工が難しくなってしまいました。
隣家の基礎、、、

隣家の束石、これに柱がのっているだけです。柱、壁とも共用ですから残しています。
敷地境界線は壁の中心であろうと推測されます。

こちらの掘削の時に崩れてこないように補強しました。
基礎


建方
上棟
断熱材
アイシネンです コチラ
造作
外壁
そとん壁+ポイントタイル

ビー玉埋めをしました!

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